
「ウェルビーイング」という言葉を聞いたことはありますか?
「身体的・精神的・社会的に良好な状態」を意味する言葉で、企業や自治体が取り組むテーマとして注目されています。
仕事や人間関係、健康、暮らし…すべてのバランスが取れていてこそ、
本当の意味で「心から満たされた毎日」が送れます。しかし、

仕事が忙しく、体調が良くない
努力に対してお給料が少ない
このようなモヤモヤを抱えていませんか?
この記事では、自分がウェルビーイングの状態かを知る方法を紹介します。
たとえば、次の11個のチェックリストをもとに自分を振り返ることで、
心身ともに健康な状態を目指すことができます。
- 健康状態
- ワークライフバランス
- 教育とスキル
- 社会とのつながり
- 市民参加とガバナンス
- 環境の質
- 生活の安全
- 主観的幸福
- 所得と資産
- 仕事と報酬
- 住居
詳しく解説していきますので、一緒に考えていきましょう。
ウェルビーイングとは?
ウェルビーイングとは、「身体的・精神的・社会的に良好な状態」を意味します。
しかし、「具体的にどういう状態がウェルビーイングなのか」については明言されていません。
2024年11月に、ウェルビーイングのガイドラインにあたる国際規格が発行されました。
それによると、具体的なウェルビーイングは、それぞれの組織のリーダーが決めることとしています。
多様性の時代に、「ウェルビーイングとは何か」を一つに絞ることはできないからだと思います。



幸せの形は人によって様々なので
組織ごとに決めようという考え方は令和っぽくていいね
とはいえ、基準が広すぎてどのようにウェルビーイングを考えればいいかわからない。
そんな人のために、ISO(国際標準化機構)やOECD(経済協力開発機構)が提案している方法があるので解説します。
ウェルビーイングの考え方①ISOが提案する4つのフレームワーク
まずはウェルビーイングの国際規格を発行したISOが提案するフレームワークです。
ISOは、以下の4つのステップで考えることを提案しています。
- 目的とすべき成果を定める
- 成果を評価する
- 評価するために指標を決めて測定する
- 改善策を議論する



具体的にどう考えていけばいいか、企業版と個人版で整理しました。
フレームワークの活用例:企業の場合
企業のウェルビーイングを「人がより良く働けている状態」と定義した場合、以下のようになります。
ステップ | 具体例 |
---|---|
①目的とすべき成果を定める | 社員のストレス軽減と離職率の低下 |
②成果を評価する | 退職率の推移・社内アンケート・健康診断の結果などを使って可視化する |
③評価するために指標を決めて測定する | 月1回の面談・有給取得率などの数値化できる項目を設定する |
④改善策を議論する | メンタルヘルス研修の導入・柔軟な勤務体系の試験導入・部署異動の希望制度を検討する |
企業側の利益アップだけをゴールにするのではなく、
社員のメンタル状態を良くすることで離職率を抑え、結果的に利益向上を目指していく。
このようなバランス感覚が必要になります。
フレームワークの活用例:個人の場合
企業向けのフレームワークは、主に経営者や役職者が考えることです。
では、個人の場合はどうなるでしょう。
ステップ | 具体例 |
---|---|
①目的とすべき成果を定める | 毎日を心穏やかに過ごしたい 仕事とプライベートのバランスを整えたい |
②成果を評価する | 夜眠れるようになったか 人との会話で笑えるようになったか |
③評価するために指標を決めて測定する | 毎朝5分の瞑想を続けられているか 夜スマホを見ない日が週に何日あったか など数字で記録できるものを設定 |
④改善策を議論する | 仕事のやり方を変えてみる SNSのフォローを整理する 気が合う人とだけ会うなど |
このように整理できます。
もう少し手順をわかりやすくすると、このようになります。
「毎日を心穏やかに過ごしたい」など漠然としたイメージでOK
例えば「毎日を心穏やかに過ごしたい」の場合、
・夜眠れるようになったか
・人との会話で笑えるようになったか
など具体的な状態を考えていきます
例えば「夜眠れるようになったか」の場合、
・寝つきにかかる時間
・夜中に目覚める回数
・睡眠時間
などを数値で測れるものをリストアップし、「睡眠時間を7時間に増やす」のように計画する
アプリや手帳で毎日記録するなど
カフェインを控える、寝る前のスマホをやめる、夜のルーティンを変えるなど対策を考える



漠然としたイメージを、数値で評価できるようにすると
自分に足りないものがわかってきます
しかし、ISOが提案するこのステップをゼロから考えるのは難しいです。
そこで、次の11個のチェックリストを見ていきましょう。
ウェルビーイングの考え方②OECDが提案する11個のチェックリスト
日・米を含め38ヶ国の先進国が加盟する国際機関OECD(経済協力開発機構)が
11個のチェックリストを活用することを提案しています。
- 健康状態
- ワークライフバランス
- 教育とスキル
- 社会とのつながり
- 市民参加とガバナンス
- 環境の質
- 生活の安全
- 主観的幸福
- 所得と資産
- 仕事と報酬
- 住居



ちょっとわかりづらいので、5つのステップにわけてみました。


⑪住居 ⑦生活の安全 ①健康状態
⑨所得と資産 ⑩仕事と報酬 ②ワークライフバランス
③教育とスキル ⑥環境の質
④社会とのつながり ⑤市民参加とガバナンス
⑧主観的幸福
具体的にどのようにチェックしていけばいいか、解説します。
①生きるための土台
項目 | チェックすべき点 |
---|---|
住居 | まず何よりも「安心して眠れる場所」が必要 ・家賃が高すぎないか ・防犯面など安全か ・落ち着けるか |
生活の安全 | 物理的・心理的な「安心」が必要 ・犯罪、災害、DVなどから守られているか |
環境の質 | 「見えないけれど影響が大きいもの」も、生活の質に直結しています ・健康に害のない空気、水、自然などに囲まれているか |
健康状態 | 自分の心と体が健康であること ・睡眠、食事が十分に取れているか ・不調を感じたときに頼れる病院があるか ・メンタルケアができているか |



生活に必要な土台は、安全な家と健康なんだね
②生活の自立
項目 | チェックすべき点 |
---|---|
所得と資産 | 経済的な安定は、安心感の源です ・生活に必要なお金があるか ・急な出費に備えられる貯金があるか |
仕事と報酬 | いきいきと働けているかで満足度が変わります ・生活を支える安定した仕事があるか ・仕事のやりがいと収入のバランスが良いか |
ワークライフバランス | 「働きすぎていないか?」も大事な問いです。 ・自分の時間があるか ・休みやすい環境か |



お金と仕事のバランスが大事なんだね
③未来をつくる力
項目 | チェックすべき点 |
---|---|
教育とスキル | スキルや知識は、仕事や暮らしをより良くする原動力になる ・新しいことを学び、仕事や人生に活かす力があるか |



将来に向けた自己投資も大切なんだね
④社会とのつながり
項目 | チェックすべき点 |
---|---|
社会とのつながり | 孤独にならないことは、健康にも幸福にも大きく関わっています。 ・家族や友人、地域とのつながりを持てているか |
市民参加とガバナンス | 政治や地域に対して「声を届けられる」「仕組みが信頼できる」と感じられることも、実は大きな安心材料になります。 |



自分の周りから視野を広げられると
より幸せを実感しやすくなるんだね
⑤主観的幸福
項目 | チェックすべき点 |
---|---|
主観的幸福 | 最後に、「私は今、幸せだと思えているか?」を問いかけてみてください。 |
これまでのすべてが整ったとき、ようやく本当の「満足感」や「心の豊かさ」が見えてきます。
足りない部分を満たすことで、「幸せ」が実感できるように
これらのチェックリストを見ていくことで、
漠然と不安を感じていたけれど、意外と幸せかもと思えたり、
なんとなく幸せな気持ちだったのが、より実感を抱けたりします。
今の自分の状態を可視化することで、より幸せになるための方法を考えることができます。
落ち着いた時間をとって、ぜひチェックしてみてください。