劇団☆新感線の舞台「天號星(てんごうせい)」を観てきました。
友達に「殺陣に興味があるならオススメ!」と言われ、軽い気持ちで観にいったら
早乙女太一&友貴兄弟の殺陣に圧倒されました。
当日券の抽選があったり、
10月11日(水)に全国の映画館でライブビューイングがあったり、
今からでも観に行ける舞台なので、ご紹介します!
※後半でネタバレをしてるので、未観覧の方はご注意ください。
舞台「天號星(てんごうせい)」は裏稼業の人たちの人情劇
この舞台は、世のため人のために悪党を始末する「引導屋」の半兵衛(古田新太)と、
誰彼かまわず斬り殺す銀次(早乙女太一)が、”天號星”という運命に翻弄される話です。
雷に打たれ、2人の魂が入れ替わってしまうところから、物語がどんどん加速していきます。
▼公式ダイジェスト動画(殺陣シーンもあります)
入れ替わるということは、時に相手になりすまさなければならない状況になる。
半兵衛(古田新太)は、怖そうな見た目とはうらはらに、優しいけど気弱な性格。
銀次(早乙女太一)は、人を斬ることだけが生きる目的のような冷酷な性格。
正反対の2人が、入れ替わりを繰り返していくうちに、内面が変化していきます。
最初のうちは、半兵衛はへなちょこな殺陣、銀次は俊敏な殺陣とわかりやすかったのですが、
だんだん半兵衛の殺陣が、銀次に近づいていくので、終盤の殺陣シーンは目まぐるしくなっていきます。
早乙女兄弟の殺陣、速くてかっこよかった
早乙女兄弟のお芝居を初めて見たのですが、殺陣シーンは本当に圧巻でした。
太一くんの殺陣は、速くて華やか。
友貴くんの殺陣は、堅実で勇ましい。
この舞台を薦めてくれた友達は、「彼らの速さに慣れすぎて、他の人の殺陣はよく見える」と言ってて、
その能力をわけてほしいくらいでした。
微動だにしない古田新太のオーラすごかった
普通、息を止めたとしても体は多少動くものなんです。
心臓が動いている限り、血が体中をめぐっている限り、ちょっとの揺れはでてくるものなんです。
なのに、古田新太はピタリとも動かず立っているシーンがあって、最初の登場シーンもそうなんですが
周りがざわざわと動いている中で、時間が止まっているかのように動かない。
それでいて、あの存在感。
すごかった。
どう頑張っても真似できない。
通路が目の前の席で、圧倒された
会場は新宿・THEATER MILANO-Zaという場所で、
私は当日券の抽選に外れ、キャンセル待ちの列に並んで入りました。
座席が最後列の通路沿いだったのです。画像の赤丸のところ。
1席分、はみ出て見えませんか?
実際はもっと通路側にはみ出ていました。目の前が通路。
そのため、舞台上からこっちに向かって出演者たちが走ってくると、もう真正面なのです。
まじで真正面。
なのでストーリーへの没入感すごかったです。斬られるかと思った(笑)
と思う瞬間があったのですが、
自分でも「いやいや、さすがにそんな馬鹿な」と思っていたのですが、
次の瞬間、背後から銀次(早乙女太一)が出てきて心臓が跳ねました。
あと、半兵衛が「俺の人生ーーー!」と泣き叫びながらこっちに走ってくるシーンがあって、
私の真横で一瞬、一息つく音が聞こえて「いやこれファンだったら卒倒してるって…」と思ったほど。
早乙女太一だけでなく、いろんな人がこっちに向かって走ってくる。
あの人もあの人も。
どうか芝居の邪魔になりませんように…と願うばかりでした(HSPあるある)
劇団☆新感線は音楽が最高にかっこいい
劇団☆新感線の舞台をそれほど多く見ているわけではないのですが、音楽がかっこいい印象がずっとあって
重低音ばりばりのロックとかヘビメタみたいな音楽を、効果的に使ってるイメージ。
※余談ですが演劇集団キャラメルボックスは、抒情的な曲を効果的に使ってる印象がある
今回の「天號星」も音楽がめちゃくちゃかっこよかった。
メインテーマ好きすぎるんですがサントラとか出るんでしょうか…。
それだけでなく、大道具のセットが緻密にできていて、裏返したり移動させたりして場面転換するたびに「えええ、そうなるんだ…!」とドキドキしたほどピタっとはまる感じがたまらなかった。
セット自体もすごいけど、移動させる人たちが1ミリもずれないよう配置していく。
本当にすごかったです。ミニジオラマほしい。
照明もかっこよくて、「天號星」を象徴する雷のシーンめちゃくちゃかっこよかった…。
(ネタバレ注意)ストーリーが素晴らしかった
複雑な過去を持った人たちの話なので、「この人実はそうだったのか」と思う場面や、「なんてこったい…」と頭を抱える場面がたくさんあったのですが、だからこそラストシーンにグッときた。
※ストーリーはネタバレしないと感想が書けない人なので、未観覧の方はご注意ください。
家族愛について
「天號星」は半兵衛(古田新太)の家族の物語が核になっています。
夫婦の話もあり、父娘の話もあり…。
終盤、半兵衛の妻・お伊勢(村木よし子)が殺されてしまうのですが、
重傷を負ったときも、致命傷を負ったときも、お伊勢を襲ったのは「半兵衛の姿をした」銀次。
お伊勢は、「半兵衛が自分を裏切った」と勘違いしたまま、死んでしまうのが、本当に辛かったです。。
せめて死ぬ前に、誤解が解けてほしかった。。
泣かせるシーンより泣いたところ
「天號星」の泣かせるシーンは、父娘の別れのシーンだと思うのですが、私はラストシーンでボロボロ泣いてしまった。
半兵衛は銀次を倒したことにより、戻る身体を失ってしまうし、
平和を取り戻すため、全ての罪を自分だけが背負って、村から去っていくし、
追っ手と戦い続ける人生がスタートしていく。
妻が死に、娘とサヨナラをし、村の人たちとももう会えない。
独りで、死と隣り合わせの毎日を過ごしながら、見知らぬ土地で過ごす。
そんな人生、辛すぎる…と。
なのに、半兵衛は様々な経験を経て、心も体も強くなったので、
そんな過酷な人生を受け入れて、前向きに追っ手と対峙していて。
その強さに泣いてしまったのでした。
早乙女太一の殺陣かっこよすぎた
ストーリーの途中で、魂が半兵衛になる演技をする場面があり、その状態でへなちょこ殺陣をすることも。
殺陣の基本の型をたくさん見たいと思っていたので、他の人の殺陣を見ようと頑張るのですが
どう頑張っても早乙女太一の殺陣を見てしまう。
動きがへなちょこなのに、へなちょこだからこその殺陣。
そんな激レアな立ち居振る舞いを、見逃していいのか?
いや、見たい!!
みたいな感じで、ずっと目で追ってしまったほどかっこよかったです。
動きの一つ一つがしなやかで華やかなんですよね…。舞いみたいな。
1個気になったのが、序盤ずっと牛若丸みたいに横笛を吹くシーンがあったのに、終盤にいくにつれて吹かなくなっていくのがちょっと残念だった。
でも、その「吹かなくなる」のは理由があるんだろうなという気もする。
しかも、前半のラストは静止した状態(肩で息をしていない)のに、
ラストシーンは肩で息をしながら静止していて、半兵衛と銀次の違いをそこでも見せるのかーーーと震えた。
このラストシーンを見るためにもう一回見たいし、序盤のキレッキレの殺陣ももう一回見たい。
ライブビューイング観にいこうかなぁ。
【追記】映画館ライブビューイングにも行ってきました ※ネタバレ注意
10月11日に全国の映画館でライブビューイングが行われました。
大画面で近距離で見ることができて、遠くから見たのでは気づけない発見がありました。
早乙女兄弟の殺陣を冷静に見られた
映画館だと安心して見られたので、早乙女兄弟の殺陣を冷静に見ることができました。
太一の殺陣は顔をまっすぐにした状態で、顔意外を動かしているなとか、
友貴が腰を落として構える姿勢が綺麗だし、動きが正統派っぽいなとか。
友貴はスタイルがよいのか、構える姿勢がとっても絵になる。
太一の殺陣を研究したいので、DVDが出たらスロー再生して見たい。
終盤、舞台セットを移動させるために床が動いた際、一瞬よろける太一が見られたのも貴重な気がしました。
半兵衛が手にしていたものは脇差ではなく…
物語の終盤、銀次との戦いでとどめを刺したシーン。
私はてっきり脇差だと思っていて「朝吉の特訓で教わったのかな」と勘違いしていました。
ですが、カメラがアップで映した半兵衛の手には、のみのような大工道具が握られていました。
そうだった、半兵衛はもともと棟梁だったんだと。
長屋に住んでいた頃、流しの大工として働いていたと話す場面があった。
婿入りをしてからは、仕事を仲間に渡していたと。
極限の戦いの中で、半兵衛はとっさに手にしたのかもしれない。
彼は過去の自分に救われたのかもしれない。
その後の朝吉との戦いも、救ってくれたのは身代わりのお札でしたね。
ラストシーンの呼吸の仕方に違いが
前回、会場で見たときのラストシーンは、半兵衛が方で大きく息をして静止していました。
私はそれが、彼の人間臭さがでていていいなと思っていたのですが、
ライブビューイングでは、さほど肩で息をしていなくて、
より修羅の道を進む感じがでていたように思えました。半兵衛がどんどん強くなっていく。
ライブビューイングは表情が良く見えるのが嬉しい
細かい表情までは、会場で見ることは叶わなかったので、細かい表情が見えたのが嬉しかったです。
黒刃組達の悪だくみを、大工仲間たちが阻止したシーン。
彼らが登場して手の内を明かしたとき、その後ろでニコニコする半兵衛の表情がとても素敵でした。
見た目が変わってしまっても、半兵衛の人柄の良さが現れた瞬間だったなと思います。