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尾上右近自主公演 第十回「研の會」感無量でした ※ネタバレあり

尾上右近自主公演 第十回「研の會」@明治座に行ってきました。
今の尾上右近を目に焼き付けたい想いから、初めて生の舞台を観ることに。

まず、尾上右近の所作のひとつひとつが綺麗だった。
手の位置、首の角度、感情ごとに変わる歩き方や背中の角度、ターンの仕方、
舞いだった。3時間半、ずっと彼は舞台を舞っていました。
見とれすぎて涙が出そうでした。すっごいものを見てしまった。

あと、歌舞伎といえば「音羽屋!」ですが、
想像よりスマートな声で、絶妙なタイミングでかけられる声がなんとも心地よかったです。

3演目ともラストシーンが圧巻で、休憩時間が始まってしばらく動けなくなるほどでした。
昔、音楽の専門学校の先生に「己の成長のために、好きなものだけじゃなくて、本物をちゃんと見ておくんだぞ」と口酸っぱく言われていたが、本物を見てきたつもりでいた。
これが「本物だ」と思った。

目次

藝阿呆

「藝阿呆」は語りと三味線の2人と右近のお芝居。
場面が切り替わるときに、語りと三味線の方の座る台が四方に動く様に圧倒され、
「ここに土佐の末弟!」を繰り返し葛藤する姿が頭から離れませんでした。

イヤホンガイドを買っていたのですが、「藝阿呆」は自分の目と耳だけのほうがいい気がして
ストーリーや裏話が聞けずに終わったのですが、右近が短く息を吐く音や、舞台を歩く音、そして語りと三味線の生きた音を堪能できて、本当に良かったなと思っています。

三味線に詳しくないのですが、チューニングをする場面が多く、
それが果たしてチューニングなのか、その場面の不安な感じを演出するためなのか、とにかくあの三味線をまた聴きたいなと思いました。

この演目だったと思いますが、刀を持つシーンかっこよかった。

鷺娘

映画「国宝」でおなじみの演目。
ずっと映画を見ようと思っていたのですが、予告編などを観るに儚さと悲しみが渦巻いていそうで敬遠していました。(実際、ラストシーンは息絶えて終わるものが主流っぽい)

右近の「鷺娘」は躍動感があって、儚さや苦しみの中に「生きる」意思のような強さを感じました。
地獄で翻弄される姿さえも、そこに絶望といった黒いものはなく、もっと清らかな何かが表現されていました。

ラストシーンは、普段見ることの少ないレア解釈でした。
その場面の美しさと華やかさに呼吸を忘れました。
まるで「火の鳥」のようだと思いました。あの衣装すごすぎた。

右近の解釈が好きだと確信した瞬間だったので、今後も自主公演を狙って見に行きたい。
演出や衣装などのこだわり全部好きすぎる。

イヤホンガイドを聴きながら見たのですが、傘の素材ひとつひとつにこだわりがあって凄いと思った。
雪の中、傘を持つ手が震えているという表現がすっごく上手くて、最初全然わからなかった。
その傘の揺れなんだろう、あ、もしかしてそれは震えていて…?と気づいたときの鳥肌やばかった。
太鼓で風の表現をするというのにもしびれた。

右近の登場シーン、私の席からは後ろ姿が見えたのですが、照明に照らされた白無垢の影がすっごい美しくて、一体どんな布でつくられた衣装なんだろうと思った。見たことない柔らかな黒い線が走ってて、一気に世界に引き込まれました。

あと、傘の陰で衣装替えをするとき、私の席からは右近が手早く衣装替えの支度をしているのが見えて、
役は女性の儚さを出しながら、衣装替えは右近っぽい男らしさ全開でかっこよかったです。

春興鏡獅子

尾上右近をテレビで初めて見たときに、紹介映像として春興鏡獅子のシーンが使われていて、
「え、なにこの可愛いジャンプ…」と思ったのが、右近に興味を持ったきっかけでした(なんで)

なのでまさか自分の目で、目の前で見ることができるなんて…感激すぎた。

前半と後半で役が全く異なる演目で、前半は弥生の舞い、後半は獅子の舞いと、男女の役を演じています。

Eテレの「芸能きわみ堂」や「古典芸能への招待」で、右近が一人二役で男女を演じる回があり、
右近の女役すごくきれいだなと思っていたので、「鷺娘」と「春興鏡獅子」で見ることができて嬉しかったです。右近であることを一瞬忘れる美しさ。弥生の着物が好きすぎる。

弥生の持つ獅子が自我を持った時の、弥生なのでやわらかな芝居をしているのに、獅子はオラオラしてて
その対比がすごくいいなと思った。

後半で獅子が登場。私の席は花道が真ん前でしたので、登場シーンや後ずさり退場など見放題。
なぜあの長い髪の毛を踏まずに後ずさり退場できるのか…。
右近の瞬きを真横で見られるなんて貴重…!

獅子の舞、かっこよかった。
牡丹の花のところでくつろぐ姿が愛おしい。

髪の毛を豪快に回すシーンはこの演目の見せ場らしい。
イヤホンガイドでは、右近は舞の1つとして解釈しているようなことを話していた。好き。
見せ場として独立させないで、すべてが大きな一つの流れとして解釈しているの、好きです。

ラストシーンで幕が下がっていくときに片足上げてるの可愛すぎた。

カーテンコールで、演目中は一言もしゃべっていないので、その反動でめちゃくしゃ早口で喋っていましたが、両側に手話で通訳するスタッフさんがいて、あの早口を全て手話で…と震えた。

「歌舞伎が好きです」と断言していた右近。
それが嘘ではないことは、テレビで歌舞伎の紹介をする姿を見ていればわかる。
彼がどれだけの努力をして、今こうして舞台に立っているのか。想像を超える。
右近は目の前のことをこなしていくだけでなく、もっと広い視野で歌舞伎を見ていると感じた。
イヤホンガイドの説明のわかりやすさ、プログラムの言葉からも伝わってくる。

もっと歌舞伎のことを知りたいと思った1日でした。

ささやかなことですが、ほかのジャンルの舞台だと「音を立てるのは芝居の邪魔」な印象があった。
でも、歌舞伎はあえて音を出すんだなと思った。
足音で感情を出す、小道具を音を出して置くことで振り向かなくても座れるとか、衣装替えの紐を引っ張る音を出すことで、間違いがないように確認できるとか。

新しい世界を体験できて楽しかったです。

カーテンコールの撮影OKパート、くるくるまわってて可愛すぎた。


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